京都のいわくら病院の開放医療を推し進めたいわくら病院院長崔秀賢のインタビュー

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いわくら病院 院長 崔 秀賢
死と差別、二つの大きな悩み −少年時代

 私の父は牧師でした。だから私も高校2年までは神学部に行くと決めていました。
しかし、シュバイツァー博士も医者をしてから牧師になったのだから、自分も博士にならって医師の経験を積みたいと、医学部をめざすことにしました。

  じつは10歳ぐらいから、私には死に対する恐怖が過剰なほどにありました。きっかけは近所のおばあちゃんの死です。私はそのおばあちゃんに可愛がってもらっていたのですが、お葬式の列が長く続くのを見て、言いようのない恐怖にとらわれました。人はみんな死ぬ―それは体中の力が全部抜けてしまうほどの虚脱感でした。「死ぬことが決まっているのに、人はなんのために生きるのだろう」。思えばその時、心の深淵を覗き込んでしまったんですね。それまで腕白坊主だった私は、それ以来どこか翳りのある少年になりました。

  また、牧師の息子としてそれなりに正義感も強く、誇り高かった私は、世の中にいわれのない差別が存在することにも早くから気づいていました。その人物の中身に関係なく、生まれた場所や性別、見た目など、世間は様々な要因で差別をします。それを受けた本人がどれほど傷つくかは想像がつくことなのに、差別や偏見はなくなろうとしません。なぜなんだろう。少年の私には難しすぎる疑問でした。

  心の医者になろうと思ったのも、そういった体験が関係しているのかもしれません。

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